西陣 羅工房

「手しごと」ならではの表情が魅力

「香紙」や「hacoシリーズ」、「ぽち袋」などなど…どこかほっこりするようなあたたかみのある商品たちは1点ずつ、職人さんたちの手しごとから生まれています。
今回はどんな風に作っているのかをお伺いしました。
制作していただいているのは西陣にある「羅工房」さん。「手刷り型染め」を用いた貼り箱や1点ずつ絵付けをする「はりこドール」などのアイテムを幅広く展開されています。
工房の1階は「天御八(てんみはち)」というカフェ&ショップになっているので、お茶をしながらゆっくりお買い物も楽しめますよ。

手刷り型染めって?

「手刷り型染め」は、日本に昔からある伝統的な染色方法のひとつです。刷るための型に、専用のハケを使って染料を塗り込みながら刷り上げていきます。染料の調合や水分量によって仕上がりが変わってきてしまうので、染料を作る工程から職人さんたちの腕が試されます。型の仕上がりも、手で彫った方が良いものができるため、ひとつずつ手作業で切り抜いているのだそうです。
また、1色につき1染色となるので、色数が増えるとその分、型が必要になります。染色も前に染めた色が乾くまでは次の色を刷ることができないので、大変な時間と労力がかかります。ひとつひとつの丁寧な仕事によって、あたたかみのある表情豊かな表現となるのが特徴です。

どんな風に作っているの?

一から十まで職人さんの手しごとで作られている手刷り型染めの制作の様子を「香紙」を例にご紹介していきます!
1)型の製作
職人さんが手作業で型を作ります。昔は紙の型でしたが、耐久性や型ズレを軽減させるために現在はプラスチック製の型を使用しているのだそう。商品の表情が決まる、重要な作業です。
2)染料の調合
色を調合します。色を合わせるのはもちろん、水分量もとっても重要。水分が多いと滲(にじ)みの原因に、少ないと色がうまく入らなくなることも。
3)染色作業
いよいよ染色です。型がズレないように押さえながら、ハケで塗り込んでいきます。強くこすってしまうと和紙が毛羽立ってしまうそうで、きれいに塗り上げていく職人さんの技術力がうかがえます。
4)それから
香紙の場合はこのあとに香りを付ける工程を経て、箱のかたちにしていきます。他の商品も箱を作るところまでをすべて手作業で行っているのだとか。…すごい!

手しごとだからできるぬくもりを大切に

ほっこりとした味わいが特徴の「手刷り型染め」のアイテムたち。元々はのれん業をしていた羅工房さんが、のれんの染色の際に用いていた技術を何か違うことに生かせないかと、小物に刷り始めたのが、はじまりでした。
「手しごとを広めたい、手しごとの良さを生かしていきたい、というのが社員みんなの思いなんです」と担当の木村さん。時代が変わって、機械でできることが増えても、“手しごと”だからできる味わいを大切にしている羅工房さんの商品はひとつずつ表情がちがう愛らしさがあってあたたかな気持ちになります。
私たちもそんな羅工房さんの魅力に惹かれて、商品の制作のご相談をさせていただきました。デザインは同じはずなのに、出来上がった商品はデータとしてお渡ししたときには感じなかった、ぬくもりがあって”手しごと”の力をひしひしと感じます。同じ商品でも、ひとつずつ異なる表情を見せてくれる1点ものなので、手にしたとき、選んだときから愛着もわきますよ。

羅工房×乙女の祇園祭 制作のうらばらなし

「お互いに楽しめるように作っていきたい」という思いの元、何度も打合せを重ねて商品を作っていきました。さまざまな商品を制作していただいていますが、中でも「haco」はとても難しかったのだとか。使用する型やハケの関係で柄が細かくなると表現の難易度があがるのだそうです。
それでも、「『こうしたい』というデザインにこれはダメと手を加えるよりも、挑戦して『ここまでできたやん!』となった方がいい! と前向きに取り組むようにしています。」と木村さん。毎回挑戦してくださる姿勢には頭がさがります。
心強いお言葉のおかげで、乙女の「haco」シリーズもデザインはほとんどそのままに羅工房さんらしい味わいのある印刷が素敵な商品に仕上げていただきました。
いかがでしたしょうか。
”手しごと”にこだわった「手刷り型染め」の商品たち。和紙の柔らかな手触りとあたたかなな手刷りの表情が、ふだんのひとときを特別なものにしてくれます。手刷り型染めの商品は下記よりチェックできるので、気になった方はぜひご覧ください。
pick up item玉どーる 金平糖セット
2020年「京都ギフトショー」で受賞した商品。コロンとまるいフォルムにひとつひとつ絵付されたあしらいがかわいいです。全11種と種類豊富なので、お気に入りを見つけてみても。
株式会社 羅工房
〒602-8285 京都市上京区千本通り一条下ル西側西中筋町19-84