宇治 昇苑くみひも

主役に寄り添う、組紐の魅力

ご朱印帖をもっとかわいく使ってもらいたい! と2018年に発売を開始したオリジナルの組紐バンド。配色やモチーフなどのデザインをご相談しながら、1点ずつ職人さんに作っていただいています。どんな風に作られているのか、制作現場にお邪魔しました。
制作していただいているのは宇治の「昇苑くみひも」さん。JR宇治駅からすぐ、風情ある町並みの中に町家を改装した素敵なお店が見えてきます。 店内にはさまざまな組紐のアイテムが並んでいて、ついつい手に取りたくなるものばかり。眺めているだけでも楽しい時間が流れます。

組紐ってどんな紐?

そもそも「組紐」は、それ自体が主役になるのではなく、いろいろな物を飾るための脇役なのだそう。伝統工芸として魅力的なので、組紐単独で見てしまいがちですが、確かに組紐を用いることでグッと華やかに、主役となる品の魅力を引き立ててくれます。担当の八田さんは、「色数や表現できる模様の幅広さから、さまざまな場面に合わせ、どういう紐にするのかを考えらえるのが、面白いところなんですよ。」とお話してくれました。実際に商品制作のご相談は、お寺やジュエリーショップなど多岐に渡るそうです。
また、できあがった組紐は結んでモチーフにすることで、華やかな印象になります。乙女の商品「梅結び」「四葉結び」とオリジナルの「華結び」には、それぞれ「良いことを運んでくれますように…」という願いを込めた吉祥文様の結びを作っていただいています。

組紐はどうやってできている?

「紐を組む」と「紐を結ぶ」大きく分けて2つの工程に別れる組紐制作。制作の現場を見せていただきました!
1)まずは準備
糸を組んでいく前に糸束の準備をします。糸をそれぞれの太さに束ねて、長さを測っていきます。絹糸を使う場合は、染色して専用のボビンに巻き直すところから手作業で行うんだそうです。
2)紐を組む〈手組み〉
こちらは職人さんの手で組まれているところ。鮮やかな手際で数十本もある糸を絡ませ、美しい紐が仕上がっていきます。
3)紐を組む〈機械組み〉
機械組みの様⼦。機械と⾔え全⾃動ではなく、太い紐、細い紐…など紐に合わせて部品や組み上げるスピードを、職⼈さんたちが調整しています。コシのある紐を作るためにゆっくりと組んでいるので、機械だから大量に作れるというわけでもないそうです。
4)紐を結ぶ、加工する
乙女の組紐バンドでいう、ゴム紐の取り付けや結びの工程。1点ずつ手作業で制作していただいています! 「四葉」や「梅」など、空間を演出してかたちを作るのは日本の結びの特徴なんだとか。複雑に組まれている紐を1本ずつ引っ張り、調整してきれいな形に整えます。

無限大にある可能性を提案していく

いろいろな用途で使うことができる組紐。組紐があることで、主役になるものたちがもっと素敵になるような役割を大切に、と日々制作をされています。乙女の商品でも組紐バンドにすることで、ふさのタイプとはまた違った演出ができて、その役割の力を感じました。
「ただ留めるだけだったら輪ゴムやセロハンテープなど、便利で簡単なものがたくさんありますよね。その中で“組紐”であしらう意味を提案していけるように向き合っています。」と八田さん。
また、こんなことに使えるんだ! という発見をしてもらえるよう、自社商品を制作する際には出来る限り金属パーツなどは使わず、紐を使って工夫しているそうです。
移り変わる時代の流れの中で、一時の「かわいい」だけではなく、組紐を使う、組むことで得られる文化的な価値や魅力を伝えていけたら…、と商品の見せ方や制作のご相談だけでなく、組紐の新たな可能性を模索されている姿に感銘を受けました。

昇苑くみひも×乙女の祇園祭 制作のうらばなし

組み方や色、結びのモチーフなど、オリジナルで制作していただいている「ご朱印帖組紐バンド」。たくさんある結びの中から、お客さまがご朱印帖を使うシーンを想定し、かばんにしまう際に結びが引っかからないか、押されて型がつかないかなどの配慮をしていただきました。ひんぱんにつけ外しを行うご朱印帖用に、着脱しやすいよう、ゴムバンドを併用してもらいましたが、ゴム紐を組紐と組み合わせる方法も今までにはないチャレンジだったそうです。「できない」と決めつけず、前向きに取り組むことが経験となり、他の商品への展開にもつながっていくのだとか。
2020年から発売の「華結び」は、“崩れにくいよう、ぎゅっとかたちが詰まったモチーフでかわいい結びがいい!” というわがままに、試行錯誤してもらいながら考案していただきました。
一緒に考えて「やってみます」と言っていただけたおかげで、かわいい商品に仕上げることができました!
いかがでしたしょうか。
ひとつひとつ手作りで作られた組紐のバンド。縁起物のモチーフは、誰かに贈るのにもぴったりです。商品は下記よりチェックしていただけるので、気になった方はぜひご覧くださいね。
pick up item正絹 グラスコード
絹の組紐で作られた「グラスコード」は手触りも柔らかいので、首回りへの違和感も少ないと人気の一品。組み方や色の種類も豊富なので、お気に入りの1点が見つかるはず。
有限会社昇苑くみひも
〒611-0021 京都府宇治市宇治妙楽146番地